コシナガマグロの刺身を食べたら食中毒になった件

タイトル通り、ことの流れを書き記しておきたいと思う。

事の発端は、スーパーであいつに出会ったこと

先日、スーパーに見聞きしたことのないマグロを見つけた。
その名も「コシナガマグロ」

聞いたことない名前にマグロにしては小ぶりで、まるでカツオのような見た目のそのコシナガマグロが気になって、ちょいと検索してみると、どうやら「マグロ類のなかでもめったに出回ることがない希少なマグロ」らしく、成魚の全長が約1mとほかのマグロよりも小さいぶん、値段も安いのが特徴だとか。

この時も、半身が500円ほどで売られており、この量で500円で買えるマグロはお買い得では!?+希少な見たことないマグロを食べてみたいという興味も手伝ってお買い上げした。

日本近海では西日本や黒潮域太平洋沿岸、琉球列島などに生息しているらしく、近場で捕れたてなのか冷凍もされず生のまま入荷されていて、新鮮さがうかがえる。となるとやっぱり刺身で食べるだろう!量が多いのであとは漬けにしたりフライにしても美味しいかもしれない。そんなことを考えながらほくほく顔で持って帰った。

その日の夕食刺身にして食した…翌日事件は起こる

夕食、さっそく刺身にして食べると、血合いも少なくあっさりした味わいでまさにカツオとマグロの間をとったような美味しさ。

まさかこんなことになろとも思ってなかったので、適当な写真しか撮っていなくて、見た目がいまいちだが、大葉を薬味に刺身でいただいた。

パクパクとあっという間に食べ終わってしまった。そこまではよかった…。
翌朝、まで寝ているところに家族からLINEが届く。

「あんた…お腹大丈夫?私は早朝から下痢で飛び起きたよ」

え…あなたのお腹の調子がなぜ私の心配に?と寝ぼけ眼でそのメッセージを見ていると

「たぶん、昨日のマグロが原因な気がする…食中毒だと思う。」

と、検索した該当記事のURLを送り付けてきた。しかし私は特にお腹痛くもないし、本当かなぁ?と思いながら、下痢家族が心配になりムクっと起き上がってリビングに行き詳しい話をきいていると…

ん?

あれれ?

なんと、話している途中から肛門様のすぐ近くに何かしらの圧迫感…というか、蛇口をひねればプハー!となりそうな水圧を感じる…。

こ、これは!?

私も急いでトイレに駆け込むと…そう、ご想像通りプッシャーーー!と出たのである。
家族全員がこの症状に陥ったため、やはりマグロによる食中毒だねという話に。

主な症状は【下痢、発熱、嘔吐】

その後、だいたいみんな2~3回の下痢をしてお腹の状態は落ち着いたが、3人のうち2人は昼頃から発熱。一人は37.2℃位の微熱(といってもこの人は平熱が低く普段は35℃後半なので37℃となると本人はそこそこつらい)、もう一人(私)は38℃まで熱が出た。

私が見た情報では激しい嘔吐も症状に含まれていたが、感染数が関係あるか分からないけど誰も嘔吐はしなかった。症状は大体食後数時間(2~6時間)で出るということらしいが、我が家では食事から早い人で7時間、遅い人で9時間くらいかかっていることから、2時間経っても症状ないから、6時間過ぎたから大丈夫…と必ずしも言えない。

病院にかかるまでもなく速やかに回復する…とネット情報にはあったので、我々もわざわざ病院に駆け込むということはせず、ポカリなどで水分をしっかりとり、出るなら下痢し、熱ある者は安静にベッドへ…で二日目の夜には全員がほぼ回復、普通にご飯を食べられるまでになった。

不思議というか、食中毒で下痢となると耐えがたい腹痛が伴う場合が多いが、今回全員が下痢は数回したものの、出る前の腹痛なるものがなかった。お腹は痛くないけど、肛門様に水圧を感じてトイレに駆け込むとシャーー!と出るという感じ。その点は苦しまなくてよかったので、有難かった。

マグロの何がいけなかったのか…

この食中毒、マグロに寄生している、粘液胞子虫クドア(ナナホシクドア)という寄生虫が原因らしい。

こんな、なんとも可愛らしいお花みたいな形をしている…が、症状は可愛らしくない…( ‘д‘⊂彡

主にヒラメに多く寄生が確認される寄生虫らしく、このコシナガマグロにも時折検出されているのだと。(売り場で言うておいてよ…)

ただ、感染数が少ない場合は生食しても食中毒を起こすことはないらしいので、刺身で食べるのが全てアウトというわけでもない。しかし面倒なのがこのクドアはアニサキスなどと違って、よぉ~くよぉ~く目を凝らしてみたところで、小さく半透明なため魚肉との差がつきにくく、目視では発見できないということ。

さらにこの手の寄生虫による寄生であるあるのゼリーミート(寄生虫により魚身がタンパク分解酵素によって筋肉組織を分解され、ゲル状に液化させる現象)も起こらないので、見た目で「げっ…おかしい」となることもない。

なので察知することもできなければ事前に取り除いて食べるということができないのだ。感染数が多ければ中毒を起こす…クドアロシアンルーレットである。なんだよ!もうどうしようもないのかよ!美味しい刺身食べられないのかよ!と自暴自棄にもなりそうなもんだが(そんなに?)、一応解決策もあるので紹介しておこうと思う。

どうしても食べたい場合の対処法

クドアは冷凍・加熱に弱いので、どうしても刺身で食べたいのであれば”マイナス20℃・4時間の冷凍”、あとはフライや唐揚げ、焼き魚として”中心温度75℃で5分程度の加熱”をしてから食べるとよい。

ちなみに、家庭用の冷凍庫は規格上マイナス18℃が最高温度なので20℃に達すことなく冷凍して解凍して食べても食中毒を引き起こす可能性があるので基本NGだ。業務用などの20℃以上冷える冷凍庫で凍らせられる環境があるなら、一旦冷凍して解凍して刺身で食べることも可能。

いわゆる酢で〆るなどの方法はきかない。一応中心部分まで酸固定すれば不活化は可能だけど、その場合は食べられたもんではない味になるので、どっちみち不可能と考えた方がいい。殺菌効果のあるとされる薬味(ワサビや生姜)などによる即効性のある殺菌も不可能。

知らずに買ってしまったけど捨てるのは忍びない。どうしても食べたい…という場合は、加熱して食べるのがいいということ。私たちも残りの切り身は唐揚げにして食べました。唐揚げもね、美味しかったですよ。

ヒラメやコシナガマグロ以外にも寄生するのでご注意

ということで、お目にかかったことのない魚を食べて、かかったことのないであろうクドアという寄生虫による食中毒になったお話でした。

コシナガマグロ自体お目にかかることがあまりないので、自分には関係ねぇーや!と思うかもしれないが、ヒラメはもちろん、タイやカンパチなど、さまざまな刺身からも検出されているので、注意が必要だろう。今まで沖縄で水揚げされて冷凍していない生マグロや友人が釣ってきた小型のマグロをその場で捌いてパクパク警戒なく食べてたけど、無事だったのはむしろ運がよかったのかもしれない…と今更ながら青くなってしまった。

今後は気をつけなければ。

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